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ビジネス難問の解き方

作家名
唐津一
ビジネス難問の解き方
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ビジネス、経済、企業、政治、外交交渉などの多数の事例やエピソードから、問題を発見し、解決に導く方法を論じた実戦的な問題解決読本である。

著者がモデルにする問題解決は、たとえば1868年、日本を取り巻く国際情勢を把握し、「和戦両様」の構えで官軍との「至難と思われる講和」を成立させた旧幕府軍の勝海舟の事例である。著者はここに、状況の変化の読み取りや決断、かけ引きなどを総合した「情報の取り扱い方」と、「最善の手以外の手を、たえず手中にしのばせておかなければならない」ことの2つのポイントを読み解いている。本書には、全体にわたってこうした興味深いケーススタディーが展開されている。

事例やエピソードは、天安門事件における米中のかけ引きから、中野区役所の窓口改革、ニッチ産業で世界の最先端をいく町工場、投資会社LTCMの破綻、ゴミ処理問題、沖縄のIT産業開拓、スーパーの味噌(みそ)の陳列方法まで実に多彩で、人間の思考や行動原理の研究成果、思考の進め方や決断、交渉術のノウハウなども随所に盛り込まれている。とくに「日本の製造業の衰退」「経済の失われた10年」などと報道するマスコミを批判して、日本経済やモノづくりの底力を立証する著者の情報読解力には注目したい。

あらゆる事象から問題を見いだしていく著者の手腕は、「問題発見」の格好のお手本である。「現場で生の声や情報に接してはじめて問題の最適化をはかることができる」という現場主義哲学にも学ぶべきことは多い。問題解決の奥深さとその思考のあり方に触れられる1冊である。(棚上 勉)

投稿日
発売日
ページ数
82
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